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2026.11.01

「太っているだけ」ではありません!肥満症と心臓病の深い関係~薬だけに頼らない、健康的な減量のすすめ~

こんにちは。つねかわ内科・ハートクリニックです。

「健康診断で体重を減らすように言われたけれど、なかなか痩せられない」

「血圧の薬が増えてきた。体重が関係しているのだろうか?」

「最近、肥満症の治療薬が話題になっているけれど、自分も使った方がよいのだろうか?」

このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

肥満というと、見た目や体重の数字が気になる方が多いと思います。しかし、循環器内科医としてお伝えしたいのは、肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中、心不全など、さまざまな病気と深く関係しているということです。

最近では、肥満症に対する新しい治療薬も登場し、医学的な治療の選択肢が広がっています。

一方で、薬を使って体重が減れば、それだけで健康上の問題がすべて解決するわけではありません。

今回は、肥満症が心臓や血管に与える影響と、健康を守るために取り組みたい対策について解説します。

1.「肥満」と「肥満症」は違います

まず知っていただきたいのは、医学的には「肥満」と「肥満症」を区別しているということです。

日本では、BMI 25以上を肥満と判定します。

BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って計算する指標です。

例えば、身長170cm、体重75kgの方の場合、BMIは約26となり、肥満に該当します。

しかし、BMIが25以上だからといって、全員が同じ治療を必要とするわけではありません。

重要なのは、肥満によって健康上の問題が生じているかどうかです。

肥満に関連する健康障害を合併している場合などには、「肥満症」と診断され、医学的な治療が必要になることがあります。

肥満に関連する代表的な病気には、次のようなものがあります。

  • 高血圧
  • 糖尿病や血糖値の異常
  • 脂質異常症
  • 冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
  • 脳梗塞
  • 脂肪肝
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 膝や腰の関節疾患

特に循環器内科では、高血圧、脂質異常症、糖尿病などを合併している患者さんを数多く診療しています。

こうした病気をお持ちの方は、体重だけでなく、肥満が病気にどの程度関係しているかを確認することが大切です。

「少し太っているから痩せましょう」という話ではなく、肥満によって起こっている健康障害を治療する。これが肥満症という考え方です。

2.肥満を放置すると、心臓や血管にどんな影響があるのでしょうか?

肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、血圧や血糖値、血液中の脂質などに悪影響を及ぼします。

その結果、血管の動脈硬化が進み、心臓や脳の病気につながる可能性があります。

高血圧が悪化しやすくなる

体重が増えると、血圧が上がりやすくなります。

高血圧が続くと血管に負担がかかり、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。

減量によって血圧が改善する方もおり、体重管理は高血圧治療の重要な柱の一つです。

心房細動などの不整脈にも関係する

肥満は、心房細動という不整脈の発症や再発にも関係しています。

心房細動は動悸や息切れの原因となるだけでなく、心臓の中に血栓ができ、脳梗塞を引き起こすこともある病気です。

心房細動のある方では、減量を含む生活習慣や危険因子の管理によって、治療成績の改善が期待できる場合があります。

心不全にも関係する

心不全は、心臓の働きが低下したり、心臓が十分に血液を受け入れられなくなったりすることで、息切れやむくみなどが起こる病気です。

肥満は、特に心臓の収縮力が保たれていても症状が出る「左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)」と深く関係しています。

このタイプの心不全では、肥満症治療薬によって症状や身体機能の改善が期待できることも、臨床試験で示されています。

心筋梗塞や脳卒中のリスクにもつながる

肥満に伴う高血圧、糖尿病、脂質異常症などが重なると、動脈硬化が進みやすくなります。

その結果、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気のリスクが高まる可能性があります。

肥満を治療することは、単に体重を減らすためだけではなく、将来の心臓や血管を守るためにも重要なのです。

3.何kg痩せればよいのでしょうか? まずは3%減を目指しましょう

減量というと、「10kg痩せなければ意味がない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、最初から大きな目標を掲げる必要はありません。

日本肥満学会の肥満症診療ガイドラインでは、肥満症の患者さんに対して、まず現体重の3%以上の減量を目標とする考え方が示されています。高度肥満症では、より大きな減量目標が設定されることがあります。

例えば、体重80kgの方なら、3%は2.4kgです。

まずは80kgから約77.5kgを目指す、というイメージです。

この程度の減量でも、血圧や血糖値、脂質などの改善が期待できる場合があります。

もちろん、すべての方に同じ目標が適しているわけではありません。年齢、合併症、筋肉量、現在の体調などに応じて目標を調整することが重要です。

特に高齢の方では、無理な食事制限によって筋肉が減り、転倒やフレイルにつながることもあります。

大切なのは、急激に体重を落とすことではなく、健康を改善できる範囲で、無理なく続けられる減量を目指すことです。

4.最近話題の「痩せる薬」を使えば安心?

近年、GLP-1受容体作動薬など、肥満症に対する薬物療法が注目されています。

適切な患者さんに使用することで、大きな体重減少や代謝の改善が期待できる薬剤もあります。

また、セマグルチドなど一部の薬剤では、特定の患者さんを対象とした臨床試験で、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントを減らす効果も示されています。

しかし、ここで注意したい点があります。

体重を大きく減らせることと、心血管イベントを減らす効果は、必ずしも同じではありません。

ある臨床試験の追加解析では、セマグルチドを使用した患者さんについて、体重がどれだけ減ったかによって、その後の心血管イベント発生率に明確な差は認められませんでした。

この結果だけで薬の心血管保護効果がないと結論づけることはできませんが、減量率だけで心筋梗塞や脳卒中の予防効果を判断することはできない、という重要な示唆があります。

また、薬剤によって効果や適応は異なります。美容目的で誰でも自由に使用できるものではなく、副作用や使用上の注意点もあります。

肥満症治療薬は、医師が患者さんの状態を評価し、必要性や安全性を確認したうえで検討する治療法です。

5.薬だけではなく、食事と運動も大切です

肥満症治療薬は有効な選択肢ですが、薬を使えば生活習慣を気にしなくてよいというわけではありません。

健康的な減量を目指すためには、食事と運動の両方を見直すことが大切です。

食事は「量」だけでなく「内容」も見直す

体重管理では、摂取エネルギーを適切に調整することが基本です。

しかし、カロリーだけを気にしていればよいわけではありません。

例えば、甘い飲料や菓子類を頻繁に摂取している方は、まずその習慣を見直してみましょう。

糖尿病のある方では、食事の総エネルギー量に加え、糖質の摂取量や食品の選び方も重要です。

一方、糖質を極端に制限すれば誰でも健康になるというわけではありません。

野菜、豆類、魚などを取り入れながら、適切なたんぱく質を確保し、食事全体のバランスを整えましょう。

特に高齢の方では、食事を減らしすぎることで筋肉量が低下することがあります。体重を減らすことと、筋肉を維持することを両立させる必要があります。

運動で筋肉と心肺機能を維持する

運動には、体重管理だけでなく、血圧や血糖値の改善、筋力の維持、心肺機能の向上などのメリットがあります。

まずは、日常生活の中で歩く時間を増やしたり、座りっぱなしの時間を減らしたりすることから始めてみましょう。

慣れてきたら、ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、筋力トレーニングも取り入れるとよいでしょう。

ただし、心臓病や高血圧などの持病がある方、運動中に胸痛や息切れが出る方は、運動の強度について医師に相談してください。

食事で脂肪の蓄積を減らし、運動で筋肉や心肺機能を維持する。この両方を組み合わせることが、健康的な減量につながります。

6.生活習慣の改善だけでは難しい場合、専門的な治療も選択肢です

「何度もダイエットに挑戦したけれど、リバウンドしてしまう」

「食事に気をつけているのに、なかなか体重が減らない」

このような悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。

肥満症は、本人の努力不足だけで起こるものではありません。体質、食欲の調節、睡眠、ストレス、服用している薬、生活環境など、さまざまな要因が関係します。

そのため、生活習慣の改善だけで十分な効果が得られない場合には、医師と相談し、専門的な治療を検討することも大切です。

肥満症の治療には、食事療法・運動療法を基本として、必要に応じて薬物療法を組み合わせる方法があります。

また、高度の肥満症などでは、条件を満たした患者さんに対して、減量・代謝改善を目的とした外科的治療が検討されることもあります。

ただし、薬や手術にはそれぞれ適応条件があり、すべての方に必要なわけではありません。

「自分の努力だけで何とかしなければ」と抱え込まず、必要に応じて医療の力を活用することも大切です。

7.こんな方は、一度医療機関で相談してみましょう

次のような方は、体重だけでなく、肥満に関連する健康障害がないか確認することをおすすめします。

  • 健診で肥満や腹囲の増加を指摘された
  • 血圧が高く、薬が増えてきた
  • 血糖値やHbA1cが高い
  • LDLコレステロールや中性脂肪に異常がある
  • 脂肪肝を指摘された
  • いびきが大きく、睡眠中の無呼吸を指摘された
  • 体重が増えて、階段や坂道で息切れしやすくなった
  • 何度も減量に挑戦しているが、うまくいかない

こうした場合は、「もう少し痩せてから受診しよう」と考えるのではなく、まず現在の健康状態を確認することが大切です。

なお、胸の痛みや急な息切れ、冷や汗などがある場合は、肥満の相談とは別に、心臓や血管の病気について速やかな評価が必要です。

8.肥満症の治療は、将来の健康を守るために

肥満症の治療で大切なのは、単に体重を減らすことではありません。

血圧を適切に管理する。血糖値やコレステロールを改善する。筋肉を維持する。心臓や血管の病気を予防する。

そのために、食事・運動などの生活習慣の改善を基本としながら、必要に応じて薬物療法や専門的な治療を組み合わせていきます。

「体重を減らすこと」をゴールにするのではなく、「健康に生活できる時間を延ばすこと」を目標にしましょう。

つねかわ内科・ハートクリニックでは、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患を診療しています。

「健診で肥満や血糖値の異常を指摘された」

「血圧の薬が増えてきた」

「肥満が心臓に与える影響が心配」

「食事や運動を見直したい」

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

必要に応じて健康状態や心血管リスクを評価し、生活習慣の改善や適切な治療について一緒に考えていきます。

今の体重と向き合うことは、将来の心臓と血管を守ることにつながります。まずはご自身の健康状態を知ることから始めてみませんか?

当院のご予約はこちらから

https://tsunekawaheart.reserve.ne.jp

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