コラム

  1. HOME
  2. >
  3. コラム
  4. 耳たぶの「しわ」は心臓病のサイン?

columnコラム

2026.10.01

耳たぶの「しわ」は心臓病のサイン?

~フランク徴候から考える動脈硬化予防~

こんにちは。つねかわ内科・ハートクリニックです。

皆さんは、ご自分の「耳たぶ」をじっくり見たことがありますか?

鏡を見て、

「耳たぶに斜めのしわがあるけど、これは何だろう?」

と思ったことがある方もいるかもしれません。

この耳たぶにできる特徴的な斜めのしわは、医学的に**「フランク徴候(Frank’s sign)」**と呼ばれています。

実はこのフランク徴候と、冠動脈疾患や動脈硬化との関連については、1970年代から研究が続けられています。

最近ではインターネットやSNSでも「耳たぶのしわは心臓病のサイン」という話題を目にすることがあります。

では、本当に耳たぶを見るだけで心臓病が分かるのでしょうか?

今回は、フランク徴候について解説するとともに、フランク徴候があってもなくても、なぜ定期的な健診と動脈硬化予防が大切なのかについてお話しします。


フランク徴候とは?

フランク徴候とは、

耳たぶを斜めに横切るように見られる、比較的はっきりしたしわ

のことです。

単なる細かな皮膚のしわではなく、耳たぶの一方から外耳道の方向へ向かって斜めに走る溝が特徴です。

1973年、米国の医師であるSanders T. Frank医師が、この特徴的な耳たぶのしわと冠動脈疾患との関連を報告したことから、「Frank’s sign」と呼ばれるようになりました。

その後、国内外で多くの研究が行われ、フランク徴候と、

  • 冠動脈疾患
  • 心筋梗塞
  • 脳卒中
  • その他の動脈硬化性疾患

との関連が報告されています。

つまり、

「耳たぶのしわと心血管疾患の関連は、単なるSNS上の都市伝説というわけではない」

のです。

写真はWikipediaより。


どんな「しわ」がフランク徴候なのでしょうか?

耳たぶには、年齢とともに自然にしわができることがあります。

したがって、

「耳たぶにしわがある=フランク徴候」

というわけではありません。

一般的にフランク徴候として注目されるのは、

耳たぶを斜めに横切る、比較的深くはっきりした一本の溝

です。

片側だけに見られる場合もあれば、両側に見られる場合もあります。

また、研究によっては、

両側に深いしわがある場合や、比較的若い年齢からフランク徴候が認められる場合に、心血管疾患との関連が強い可能性

が示されています。

ただし、これも「そうであれば病気になる」という意味ではありません。


なぜ「耳たぶ」と動脈硬化が関係するのでしょうか?

これは現在でも完全に解明されているわけではありません。

耳たぶには細かな血管が多く存在しています。

そのため、

全身の動脈硬化や血流の変化が、耳たぶの組織にも何らかの影響を与えているのではないか

と考えられています。

一方で、フランク徴候がどのような仕組みで生じるのかについては、まだ議論があります。

実際、フランク徴候と動脈硬化との関連を認めなかった研究もあります。

つまり、

関連は報告されているものの、「耳たぶのしわが動脈硬化を引き起こす」「耳たぶのしわがあれば必ず動脈硬化がある」と証明されたわけではありません。

ここが重要なポイントです。


フランク徴候があったら心臓病?

ここが最も誤解してほしくないところです。

フランク徴候があるからといって、心臓病と診断できるわけではありません。

フランク徴候は、

「心血管疾患の可能性を考える一つの手がかり」

と考えるのが適切です。

実際には、心血管疾患がない方にもフランク徴候は見られます。

特に年齢を重ねると、耳たぶにはさまざまな変化が起こります。

したがって、

「耳たぶにしわがある!」

↓

「自分は心筋梗塞になる!」

と考える必要はありません。


逆に「フランク徴候がないから安心」でもありません

これも非常に重要です。

心血管疾患を持っている方のすべてにフランク徴候があるわけではありません。

つまり、

フランク徴候がないからといって、動脈硬化がないとは限りません。

耳たぶがきれいで滑らかでも、

  • 高血圧
  • LDLコレステロール高値
  • 糖尿病
  • 喫煙
  • 肥満
  • 運動不足
  • 家族歴

などがあれば、動脈硬化が進行する可能性があります。

むしろ、こちらの方が医学的にはずっと重要です。


フランク徴候を「病気を見つけるサイン」ではなく「健康を考えるきっかけ」に

では、フランク徴候をどう考えればよいのでしょうか?

私は、

「フランク徴候があったら、動脈硬化について一度考えてみる」

くらいがちょうどよいと思います。

例えば、耳たぶに特徴的なしわを見つけたとします。

そのとき、

「心臓病だ!」

と慌てるのではなく、

「そういえば、最近血圧を測っていないな」

「健康診断でLDLコレステロールが高いと言われたな」

「HbA1cが高かったけど、そのままにしていた」

「最近運動不足だな」

「タバコをやめられていないな」

と、ご自身の生活習慣や健診結果を振り返ってみてください。

これこそが、フランク徴候を知る一番のメリットかもしれません。


本当に重要なのは「耳たぶ」ではなく「血管」です

動脈硬化は、ある日突然始まるものではありません。

長年にわたって、

高血圧
↓
脂質異常症
↓
糖尿病
↓
喫煙・肥満・運動不足など

さまざまな危険因子が積み重なることで進行していきます。

そして困ったことに、動脈硬化がかなり進行しても自覚症状がないことがあります。

「元気だから大丈夫」

とは限りません。

だからこそ、健康診断が重要なのです。


健診で確認してほしい「動脈硬化のサイン」

健康診断では、ぜひ以下の項目を確認してみてください。

血圧

高血圧は動脈硬化を進める重要な危険因子です。

特に家庭血圧を測ることで、普段の血圧を知ることができます。

LDLコレステロール

LDLコレステロールは動脈硬化との関連が深い重要な指標です。

「少し高いだけだから」と放置せず、自分にとってどの程度の管理が必要なのかを確認しましょう。

血糖・HbA1c

糖尿病や高血糖も動脈硬化の重要な危険因子です。

体重・腹囲

肥満や内臓脂肪の増加も生活習慣病と関連します。

喫煙

喫煙は動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中の重要な危険因子です。


動脈硬化を防ぐためにできること

動脈硬化を予防するために特別なことをする必要はありません。

基本となるのは、

① 血圧を適切に管理する

② LDLコレステロールを適切に管理する

③ 血糖値を管理する

④ 禁煙する

⑤ 適度に運動する

⑥ バランスの良い食事を心がける

⑦ 適正体重を維持する

ことです。

特に重要なのは、

「健診で異常を指摘されたけれど、症状がないから放置する」

という状態を避けることです。


フランク徴候が気になったら、どうすればいい?

基本的には、フランク徴候だけを理由に慌てて救急受診する必要はありません。

次回の健康診断や通常の診察の際に、

「耳たぶに斜めのしわがあるのですが、動脈硬化が心配です」

と相談してみるとよいでしょう。

医師は、

  • 年齢
  • 血圧
  • LDLコレステロール
  • 血糖
  • 喫煙
  • 体重
  • 家族歴
  • 運動習慣
  • 胸痛や息切れなどの症状

などを総合的に評価します。

必要な検査があるかどうかも、その方のリスクに応じて判断します。

フランク徴候があるから、すべての人に心臓CTや負荷試験などの精密検査が必要というわけではありません。


こんな症状がある場合は、耳たぶに関係なく受診してください

一方で、次のような症状がある場合は、フランク徴候がある・ないに関係なく循環器内科への相談をおすすめします。

  • 歩いたり階段を上ったりすると胸が痛い
  • 胸が締め付けられる
  • 少し動いただけで息切れする
  • 最近、以前より疲れやすくなった
  • 動悸が続く
  • めまいや失神がある
  • 健診で心電図異常を指摘された

特に胸痛、強い息苦しさ、冷や汗、突然の体調悪化などがある場合は、単なる動脈硬化のチェックではなく、速やかな医療機関への相談が必要です。


「フランク徴候がある人」も「ない人」も、動脈硬化予防を

フランク徴候について最もお伝えしたいことは、

「あるから病気になる」わけではない。

そして、

「ないから安心」でもない。

ということです。

フランク徴候は、あくまで動脈硬化や心血管疾患との関連が研究されている身体所見の一つです。

しかし、私たちが本当に見るべきなのは耳たぶそのものではありません。

血圧はどうか?
LDLコレステロールはどうか?
血糖値はどうか?
タバコを吸っていないか?
運動できているか?
食生活はどうか?
家族に心筋梗塞や脳卒中の方はいないか?

こうしたことを総合的に考えることが大切です。


耳たぶを見たら「血管」のことも考えてみましょう

鏡を見て、

「自分にもフランク徴候があるかも」

と思った方は、まず慌てないでください。

そして一度、

「最近、健康診断を受けていますか?」

と自分に問いかけてみてください。

健診を受けていなければ、まず健診を。

血圧やコレステロールなどに異常があれば、放置せず相談を。

そして、

食事・運動・禁煙・体重管理など、動脈硬化を予防する生活

を始めてみましょう。

フランク徴候があっても、なくても、私たちの血管は毎日少しずつ年齢を重ねています。

だからこそ、

「病気になってから治療する」のではなく、「病気になる前から血管を守る」

ことが大切です。

つねかわ内科・ハートクリニックでは、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の管理から、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患まで診療しています。

「健診で血圧やコレステロールが高いと言われた」

「家族に心筋梗塞や脳卒中が多く、自分も心配」

「耳たぶのしわが気になる」

「最近、胸の違和感や息切れがある」

など、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。

耳たぶの小さな変化をきっかけに、ご自身の血管とこれからの健康について考えてみませんか?

前のページへ戻る