コラム
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こんにちは。つねかわ内科・ハートクリニックです。
皆さんはコーヒーを飲みますか?
「毎朝コーヒーを飲んでいるけれど、心臓に悪くないですか?」
「血圧が高いのでコーヒーは控えたほうがいいですか?」
「コーヒーを飲むと動悸がするので、心臓病にならないか心配です」
循環器内科の診察でも、コーヒーやカフェインについて質問されることがあります。
一方で、最近ではコーヒーを飲む人のほうが心血管病の発症や死亡リスクが低かったという研究も報告されています。
では、コーヒーは心臓に良いのでしょうか?
今回は、コーヒーと心血管病の関係について、循環器内科医の立場から考えてみたいと思います。
コーヒーを飲むと心臓病になりやすい?
まず結論からお話しすると、
一般的な量のコーヒーを飲むことが、心血管病のリスクを高めるとは現在のところ考えられていません。
むしろ、コーヒーをある程度飲む人では、
- 心血管疾患
- 心不全
- 脳卒中
- 心血管疾患による死亡
などのリスクが低い傾向が報告されている研究があります。
最近も、コーヒー摂取量と心血管イベントの発生率との関連を調べた研究が報告されています。
こうした研究を見ると、
「コーヒー=心臓に悪い飲み物」
という昔からのイメージは、少し見直す必要がありそうです。
ただし、ここで大切なのは、
「コーヒーを飲めば心臓病を予防できる」と証明されたわけではない
ということです。
コーヒーを飲む人に心血管病が少ないのはなぜ?
コーヒーにはカフェインだけでなく、ポリフェノールなどさまざまな成分が含まれています。
これらの成分が、
- 酸化ストレス
- 炎症
- 血管機能
- 代謝
などに影響している可能性が考えられています。
そのため、コーヒー摂取と心血管疾患の関係については、世界中で研究が続けられています。
ただし、コーヒーを飲む人と飲まない人では、生活習慣や年齢、運動習慣などにも違いがあります。
そのため、
「コーヒーを飲んだから心血管病が減った」
と単純に結論づけることはできません。
「適度なコーヒー摂取は、少なくとも心血管病のリスクを大きく高めるものではなさそうだ」
という程度に理解しておくのがよいでしょう。
「コーヒーを飲むと動悸がする」はどう考える?
一方で、
「コーヒーを飲むと心臓がドキドキする」
という方は実際にいます。
これは不思議なことではありません。
コーヒーに含まれるカフェインには交感神経を刺激する作用があり、
- 心拍数が増える
- 血圧が一時的に上昇する
- 動悸を感じる
ことがあります。
特にカフェインに敏感な方では、少量でも「心臓がバクバクする」と感じることがあります。
ただし、
「コーヒーを飲むと動悸がする=不整脈が起こっている」
とは限りません。
一時的に心拍を強く感じているだけの場合もあります。
逆に、コーヒーを飲んだ後に、
- 脈が飛ぶ感じがする
- 脈がバラバラになる
- 長時間動悸が続く
- 胸痛を伴う
- 息苦しくなる
- めまいや失神がある
といった症状がある場合には、単なる「コーヒーの飲みすぎ」と考えず、一度循環器内科で相談することをおすすめします。
心房細動などの不整脈が隠れていることもあります。
「カフェイン=不整脈」というわけではありません
ここは少し誤解されやすいところです。
以前は、
「カフェインを摂ると不整脈が起こる」
というイメージが強くありました。
しかし、現在の研究では、通常量のコーヒー摂取が心房細動などの不整脈を一律に増やすとは考えられていません。
むしろ、適量のコーヒー摂取では不整脈リスクが明らかに増加しない、あるいは低い可能性を示す研究もあります。
したがって、
「不整脈が心配だから、すべての人がコーヒーを禁止する」
という必要はありません。
ただし、これはあくまで「一般的な量」の話です。
問題になるのは「カフェインの摂りすぎ」
注意したいのは、コーヒーそのものよりも、
「短時間に大量のカフェインを摂取すること」
です。
特に近年問題になっているのが、エナジードリンクなどによるカフェインの過剰摂取です。
エナジードリンクを何本も飲んだり、コーヒーなどと組み合わせたりすると、短時間にかなりの量のカフェインを摂取することがあります。
その結果、
- 動悸
- 頻脈
- 血圧上昇
- 不眠
- 不安感
- 手の震え
などが起こることがあります。
大量摂取では、より重篤な循環器症状につながる可能性もあります。
特に若い方が「眠気を覚ますため」「仕事や勉強のため」とエナジードリンクを繰り返し飲む場合には注意が必要です。
コーヒーとエナジードリンクは同じように考えない
ここは患者さんにぜひ知っていただきたいポイントです。
「コーヒーもエナジードリンクもカフェインが入っているから同じ」
というわけではありません。
問題は、
どれくらいのカフェインを、どのくらい短時間で摂取しているか
です。
また、エナジードリンクには商品によって糖分なども多く含まれています。
毎日の健康を考えるのであれば、
「眠気を感じたらエナジードリンクを飲む」
という習慣そのものを見直したほうがよいでしょう。
血圧が高い人はコーヒーを飲んでもいい?
これもよく聞かれる質問です。
カフェインによって血圧が一時的に上昇することがあります。
そのため、血圧が非常に高い方やカフェインに敏感な方では、飲み方に注意する必要があります。
一方で、長期的にみた場合、一般的なコーヒー摂取が高血圧患者さんの心血管イベントを大きく増加させるとは考えられていません。
大切なのは、
コーヒーを飲んでいるかどうかだけではなく、普段の血圧がきちんとコントロールされているか
です。
高血圧の方は、ぜひ家庭血圧を測ってみてください。
コーヒーを飲む前後で血圧がどの程度変化するか確認してみるのも、自分の体の反応を知る一つの方法です。
では、コーヒーは何杯まで?
ここは「何杯なら絶対安全」という線引きをするのは難しいところです。
コーヒーのカフェイン量は、種類や抽出方法、1杯の量によって大きく異なります。
また、
- 年齢
- 体格
- カフェインへの感受性
- 妊娠
- 心疾患
- 不整脈
- 睡眠状態
などによっても影響は異なります。
そのため、
「○杯までなら全員大丈夫」
と考えるのではなく、自分の体調を見ながら適量を楽しむことが大切です。
特に、
「飲むと明らかに動悸がする」
「夜眠れなくなる」
「血圧が上がる」
という方は、量を減らしたり、飲む時間を早めたりすることをおすすめします。
「コーヒーを飲むこと」より大切なこと
ここまで読むと、
「では、毎日コーヒーを飲んだほうがいいの?」
と思われるかもしれません。
しかし、循環器内科医として最もお伝えしたいのは、
コーヒーを飲むかどうかより、生活習慣全体のほうがはるかに重要
ということです。
心筋梗塞や脳卒中を予防するためには、
- 禁煙
- 適切な血圧管理
- LDLコレステロールの管理
- 糖尿病の管理
- 適正体重の維持
- 運動習慣
- バランスの良い食事
- 十分な睡眠
などが重要です。
「コーヒーを飲んでいるから健康」
ではありません。
健康的な生活の中で、コーヒーを楽しむ
という考え方がよいでしょう。
こんな「動悸」は一度ご相談ください
コーヒーを飲んだ後に動悸がする方でも、その原因がカフェインだけとは限りません。
特に、
✓ 脈が突然速くなり、しばらく続く
✓ 脈が不規則になる
✓ 「脈が飛ぶ」感じが頻繁にある
✓ 動悸と一緒に息苦しさがある
✓ 胸が痛い
✓ めまいやふらつきがある
✓ 失神したことがある
という場合には、一度循環器内科を受診してください。
心房細動、期外収縮、発作性上室性頻拍など、さまざまな不整脈が原因になっている可能性があります。
症状が診察時には出ていない場合でも、心電図や携帯型・長時間心電図などで原因を調べられることがあります。
コーヒーを「怖がりすぎない」、でも「飲みすぎない」
コーヒーについては、
「カフェインが入っているから心臓に悪い」
と完全に避ける必要もありません。
一方で、
「コーヒーは心臓に良いから、たくさん飲めば健康になる」
というものでもありません。
現在の研究結果を踏まえると、
適量のコーヒーを楽しむことは、多くの方にとって心血管疾患を過度に心配する必要のない習慣
と考えられます。
ただし、カフェインの過剰摂取、特にエナジードリンクなどを短時間に大量に摂取することには注意が必要です。
そして、コーヒーを飲むといつも動悸がする方は、「コーヒーのせい」と決めつけず、一度心臓の状態を確認してみることをおすすめします。
「コーヒーを飲んでも大丈夫?」も循環器内科でご相談ください
当院では、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病から、狭心症、心筋梗塞後、心不全、心房細動などの循環器疾患まで幅広く診療しています。
「血圧が高いけれどコーヒーを飲んでいい?」
「コーヒーを飲むと動悸がする」
「エナジードリンクをよく飲むけれど大丈夫?」
「最近、脈が飛ぶことがある」
など、ちょっとした疑問でも構いません。
心血管病の予防は、薬だけではありません。
毎日の食事、運動、睡眠、嗜好品など、日々の生活習慣を一緒に見直していくことも循環器診療の大切な役割です。
気になる症状や生活習慣がありましたら、お気軽にご相談ください。
