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これまで「1日1万歩歩きましょう」とよく言われてきました。
確かに、歩数が多いほど心臓病や糖尿病の予防につながります。
しかし最近の研究では、「歩く速さ(歩行速度)」も健康維持に大切な要素であることがわかってきています。
🚶♂️ 歩行速度が健康のバロメーターに
歩行速度は、心臓・肺・筋肉の総合的な体力を反映します。
単なる「歩数」よりも、体の代謝機能や血管の健康状態をよく表す指標といわれています。
2011年に発表された米国の大規模研究では、歩行速度が0.1m/秒速いごとに死亡リスクが約12%低下することが報告されました(Studenski S et al., JAMA 2011)。
また2023年のイギリスのデータでは、「速歩き」の人は「ゆっくり歩く」人に比べて、糖尿病の発症リスクが約40%低かったと報告されています(Dempsey PC et al., Diabetes Care 2023)。
❤️ 生活習慣病予防にも効果的
速く歩くことは、単に脚の筋力を鍛えるだけでなく、心拍数を上げて心肺機能を高め、血糖コントロールや血圧改善にもつながります。
また、「やや息が弾むくらいの速歩き」は、中強度の有酸素運動として脂肪燃焼にも効果的です。
日本の研究でも、歩行速度が1.0m/秒未満の方は、新しく糖尿病を発症するリスクが高いことが示されています(Makizako H et al., Diabetologia 2020)。
🕒 どのくらいの速さで歩けばいいの?
個人差はありますが、「少し息が弾む」「会話がギリギリできる程度」が目安です。
時間にすれば、1日あたり速歩きで10〜15分程度を目標にしましょう。
(通勤・買い物・散歩の中で取り入れるだけでも十分です。)
🌿 無理なく続けることが大切
大事なのは、「歩数」と「歩行速度」の両方を意識することです。
健康寿命を延ばすためには、「長く歩く」だけでなく、「元気に速く歩ける身体」を維持することが重要です。
当院では、心臓や血圧・脂質・血糖の管理に加え、運動習慣の改善アドバイスも行っています。
「最近、歩くのが遅くなった」「疲れやすい」と感じる方は、お気軽にご相談ください。
