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2024.06.20

小児の心雑音についての考察

今年から小学校の学校医をやらせてただいています。先日担当校の内科検診に行ってきました。

検診のシステムや意義、やり方について言いたいことは山ほどありましたが、そんな中気になったのが聴診しての心雑音です。

どうしても循環器内科をやっている以上、聴診しているとついつい心雑音が気になってしまいます。検診である以上、心雑音があれば精査になってしまうのですが、大人と違い、小児の場合は検診で初めて見つけられる心雑音に大きな異常はないと考えています(あくまでも個人的意見です!)。

大人の場合、初めて指摘される心雑音のほとんどが心臓の弁(血液を一方通行にするためのドアと思ってください)の異常であり、これを放置することで心機能が低下し、心不全になることがあるので、適切な手術時期を逃さないためにも定期的な心臓超音波検査を行っていくのが良いと思います。ただ弁膜症の場合は動脈硬化や不整脈等々、後天的な要因で発症するため、大人の場合は今まで認めなかったものが新しく指摘されることは多々あります。

一方、小児の場合は動脈硬化などはほぼ起こりえず、弁膜症になっている可能性は極めて低いです。リウマチ熱(溶連菌感染後の合併症です)に罹患し、その後弁膜症になる、というケースもありますので、弁膜症の新規発症はもちろんあり得ますが。

小児の心雑音の大多数は先天性心疾患に起因するものが多く、そちらは今の日本の健診システムであれば、まず拾い上げられているでしょう。そもそも、新しく検診で内科医が見つけられるよりは、はるかに風邪をひいて小児科受診した時に指摘されることが多いでしょうし。

小児の心雑音では「無害性機能性雑音」というものがあります。

小児の機能性(無害性)心雑音|病気の解説|病気について知る|一般社団法人 松山市医師会 (med.or.jp)

こちらのページに書いてあることが大変わかりやすいので、そのままリンクをはらさせていただきましたが、機能性雑音は異常ではない心雑音です。元気な心臓が元気に血液を送るため壁に当たって雑音がするんだよ、と僕は説明しています。

今まで一度も心雑音が指摘されていないお子様が検診で心雑音を指摘された場合は、まずはかかりつけの小児科の先生に相談し、前からあったものかどうか聞くといいです。

かかりつけの先生が認めていなかった雑音が出てきた場合は心臓超音波検査を受けることをお勧めします。

すでに一度検診で心雑音が指摘されており、心臓超音波検査も受けて異常がなければ個人的には心配でなければ受診する必要はないと思います。もちろん心配であれば検査をして損なことはないです。心臓超音波検査はくすぐったい程度で苦痛はほぼない検査ですから。

よく聞くケースが、検診で心雑音を指摘されてから何となく胸が苦しくなった、というケースです。これは不安からくるものなので、安心のために検査を受けてみてください。

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