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2023.10.29

うつ病と運動の関係

2023.05月に開院し、あっという間に半年が経過しました。当クリニックは内科・循環器内科と標榜し、診療にあたっています。受診される患者様の中に「動悸」を主訴に受診される方がいらっしゃいます。

一言「動悸」と言っても、治療が必要な不整脈、治療の必要がない不整脈、そもそも不整脈ではないもの、いろいろあります。

そもそも不整脈でない「動悸」で多くの患者様が訴えられた印象を受けたのは、不安時にドキドキするという「動悸」です。

心電図(運動負荷心電図を含めて)、心臓超音波、さらには24時間心電図を行って、採血検査で甲状腺機能異常、貧血、脱水、感染等ないか調べ、これらが異常なければほぼその「動悸」に関しては気にしないでいいですよ、とお話しています。

だいたいそのような「動悸」は不安神経症であり、内科的治療よりは精神科もしくは心療内科的治療が必要になります。恥ずかしながら、僕自身はメンタルケアは非常に苦手であり、これらの疾患の管理に関してはやはり専門科の先生にお願いされるのが良いと思います。僕ができるアドバイスは、「悩んでいる時間があるなら限界まで体を追い込めば、悩んでいる余裕はなくなる」となりますので・・・。

果たして、この考え方は間違っているのでしょうか。それを調べてみました。

2012年に報告された「Exercise for depression」においてはうつ病患者の抑うつ症状改善に及ぼす運動介入の効果量は「中」レベルであり、一定の有効性を有するものと推測される、とあります。近年では太極拳や気功といった東洋的な身体活動の効果も報告されています。

2005年に報告された「Exercise treatment for depression」においては17.5kcal/kg/週のカロリーを消費する運動を行う方は、運動をしない方と比べて有意に抑うつ度が低下するとあります。

他方、運動療法が有用でなかったとの報告もあることから、日本うつ病学会のガイドラインでは「うつ病患者への運動は確立された治療法とはいえない」とし,軽症うつ病の章の「その他の療法」の 1 つとして運動が補完的にとりあげられるにとどまっています。

ヨガや太極拳など,柔らかな身体運動に,心身の状態への気づきや呼吸調整などの瞑想の技法を加えたプログラムが,「マインドフルネス」や「mindbody intervention」の技法として注目をあびています。これらは不安症の軽減に有用とされています。筋力トレーニングのようなレジスタンス運動は抑うつ症状の軽減に有用との報告も多いです。

上記からは運動だけで不安症やうつ病を完全に良くするのは難しいかもしれませんが、やってみて損なことはないと思います。トレーニングを行うことで得られる達成感は自己肯定感にもつながります。少しでいいから体を動かしてみましょう!

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