コラム
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前回に引き続きインフルエンザのお話です。
コロナウィルス感染症の場合、発熱して比較的早期に抗原検査を行っても陽性が出ることは多いですが、インフルエンザウィルス感染症の場合、発熱して12時間から24時間程度経過しなければ陽性にならない可能性があります。現在はインフルエンザ発生報告がほぼないため、当クリニックでは発熱して間もない患者様においてもコロナウィルス、インフルエンザウィルスに対しての抗原検査を行っていますが、インフルエンザ流行期においては、発熱を認めてある程度時間経過してから受診していただいた方が診断率が上がる可能性があります。
とはいえ、以下で詳しくお話しますが、抗インフルエンザ薬内服は48時間以内が推奨ですので、発熱してから24時間以内に受診していただいた方がよいのは事実です。
さてインフルエンザウィルス感染症の特効薬のような扱いの「タミフル」ですが、リスクを持たない成人および若年患者において、タミフルは、有症状期間を短縮させるも、インフルエンザの重症化を抑制しないとの報告もあります。米国感染症学会では以下のようなガイドラインが作成されていますので、そちらも参考にしていこうと思います。
とはいえ、日本感染症学会ではタミフルに対しては以下のような考えをなされています。
オセルタミビルを含めたノイラミニダーゼ阻害薬の早期治療による、症状緩和、罹病期間の短縮は、これまでの報告により確認されています。それに従い、オセルタミビルの適用は、合併症のないインフルエンザ感染症患者における48時間以内の投与となっています。わが国では、この適用に従う形で、症状緩和の目的で軽症の外来患者から投与され、それが結果として、重症化や入院の必要性の抑制につながってきたという背景があります。早期治療が、入院防止、下気道感染症合併防止に有効なことも報告されています。
医療機関へのアクセスが容易で、迅速診断法が普及しているわが国の状況を鑑みると、インフルエンザが確定あるいは疑われる患者について、発症後48時間以内に抗ウイルス薬の投与を開始して症状の緩和を試みることは、ノイラミニダーゼ阻害薬の適応に沿った治療です。
僕自身もインフルエンザに罹った際タミフルを飲みましたが、割とすぐに症状が落ち着きました。いい薬だなあと思い、患者様にも処方していましたが、調べてみると罹病期間の短縮は約1日のみのようです。結局は飲まずに、普通の解熱薬を用いても良くなっていたのかもしれません。
繰り返しますが、抗インフルエンザ薬は特効薬ではありません(これは抗コロナウィルス薬においても同じだと思います)。65歳以下の方では飲まずに良くなることも多いと思います。インフルエンザ感染における治療方針としては画一的なものとはせず、その方の希望をお聞きした上で治療内容を提案させていただくつもりです。
とはいえかからないのが一番です。手洗い、うがい、人混みではマスクをつける等の感染予防、よく食べ、よく眠るといった体力強化を行い、感染しないよう気を付けていきましょう。