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実は心臓と腎臓は名前が似ているだけでなく、密接なかかわりがあるのです。今回は腎臓病の最新の治療についてのお勉強です。
動脈硬化を起こすと高血圧となり、その結果として、心血管、脳血管、さらには腎臓に対しても負担がかかってきます。高血圧治療では単剤で降圧目標(130/80以下)に到達するのは40%程度とされており、降圧目標に到達していない場合は薬を増やしていくことがほとんどです。投与量を増やすよりは薬の種類を増やしていきます。
第一選択薬として使われることが多いRAS阻害薬には糖尿病性腎症の進行を遅らせることが報告されています。第一選択としては使われることはないですが、当院でもよく用いているMR拮抗薬は臓器保護効果があり、心不全や心筋梗塞後において予後を改善することが報告されています。MR拮抗薬には現在4種類あります。ただ副作用もあり、個人的に一番使用頻度が高いアルダクトンAには女性化乳房が見られることがあります。ミネブロは重度の腎機能障害を除いて投与可能であり、ケレンディアは末期腎不全を除いて投与可能(そもそもケレンディアは2型糖尿病による腎機能障害に対してのみ適応)となっています。ただじアルダクトンA→ミネブロ→ケレンディアと薬価があがるのが玉に瑕ですが…。MR阻害薬でよく起こるK値の上昇についても、後述するSGLT2-iと併用すると起こしにくくなるうえに、心血管イベントも有意に抑制するとされています。
先日もNHKで取り上げられていましたが、最近はやりの糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬は心臓にとっても、腎臓にとっても良い影響があることがわかってきました。あまりにも腎機能が悪いと使うことができないですが、心不全合併の腎機能低下症例に対しては非常に有用と考えます。ただ糖を尿中に排泄する薬ですので、尿路感染を起こしやすくなるため、そこには注意が必要です。
慢性腎臓病に対しては様々な薬が使えるようになってきましたが、一番大事なのはそのような状態にならないことです。高血圧等が健診で指摘された場合は早期から治療を開始して、動脈硬化の進展を予防していきましょう。食事、運動も非常に重要です。合わせて行っていきましょう!