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「胸が痛いです」という症状で循環器内科を受診される方はたくさん見えます。胸が痛いという症状を出す循環器疾患には場合によっては命に係わる病気のことがあるからです。
例えば「虚血性心疾患」。わかりやすく言えば「狭心症」や「心筋梗塞」ですね。心臓を栄養する血管が細くなる、もしくは詰まってしまうことで、この血管に血液や酸素が十分流れなくなり、心臓が悲鳴を上げている状態です。動くと胸が痛くなる、休むとよくなる、を繰り返すような場合は狭心症を疑いますし、突然冷や汗を伴う胸の痛みが出て、それが10分以上持続する場合は心筋梗塞を疑います。いずれの場合も心電図や、採血、心臓超音波検査で評価を行い、さらにはカテーテル検査、手術が必要になることもあります。
「大動脈解離」や「大動脈瘤破裂」も大変危険な状態です。これは血管が裂ける、破れるといった状態になり、場合によっては突然死に至ることもあります。症状としては心筋梗塞に似ていますが、冷や汗を伴う激しい胸の痛みが持続することが多いです。また痛みの位置が移動するということもあります。CT検査を行い、外科的手術が必要になることもあります。
「肺塞栓」という病気も胸が痛くなります。エコノミークラス症候群と一時期話題になったこともあります。これは肺の血管が血の塊で詰まってしまうことで、心臓の機能が低下、停止して、呼吸不全やショック状態となり、こちらも命を落とすことがあります。寝たきり状態やあまり体を動かしていなかった方が動いた際に突然、呼吸が苦しい、胸が痛い、といった場合はこの疾患を疑います。血液検査や超音波検査、CTを用いて診断します。入院、点滴治療を必要とすることが多いです。
他にも不整脈でも胸が痛くなる方も見えますし、心臓以外の病気で胸が痛くなることもあります。
肺に穴が開いて、空気が漏れ出してしまう「気胸」、胃酸が逆流して食道を荒らしてしまう「逆流性食道炎」、皮膚に水泡ができる「帯状疱疹」は皮疹が出る前に胸がピリピリ痛くなることがあります。
まだまだたくさんの病気で「胸が痛い」と感じることは多いです。「胸が痛い」というのは怖い病気の可能性もある症状です。このような症状がある場合はお気軽にご相談しにきてください。