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「高血圧」という言葉を聞いたことがない方はほぼいないと思います。
では「どのような状態を高血圧と言いますか?」と聞かれたら答えられますか?
日本高血圧学会ガイドライン2020においては「収縮期血圧が140以上、拡張期血圧が90以上」から高血圧と定義されます。
*収縮期血圧は血圧を測ったときの高い方の値で、拡張期血圧は低い方の値です。
そもそも血圧というものは、心臓から押し出された血液が動脈の内壁に与える力です。
例えば激しく運動をして、心拍数が上がれば、心臓から送り出される血液の量が多くなり、血圧は上がりますし、大けがをして大出血をした場合は血液量が少なくなるため、血圧は下がります。
太ってくると血管壁に脂肪が沈着し、血管が硬くなるため、血管壁にかかる力が強くなり、その結果血圧上昇をきたします。肥満体型の方に血圧が高い理由はこれです。
血圧が高い方は塩分を控えるように言われると思いますが、それも血圧の機序を考えるとなぜ塩分を控えるかがわかりやすくなります。
塩分を多くとるとその分血管内の塩分濃度が上がります。人体の中ではこれを元に戻そうとするため、血管内に多く水分量を取り込もうとします。その結果、血管内の血液量は増えることになるため、血管により大きな圧力がかかるようになり、血圧が上昇することになります。
血圧は年齢+90が正常、という意見もあります。
高血圧治療の目的は血圧を適正化するだけではなく、高血圧の結果おこる動脈硬化性疾患(例えば心筋梗塞)を予防することにあります。
過去の大きな臨床試験疫学研究の結果からこれらの疾患を予防するための適切な降圧目標が決められているため、個人的には年齢+90ではなく、ガイドラインが定めた140以下の血圧を目指すべきだと思っています。